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セビリア

「セビリアの理髪師」はジョアキーノ・ロッシーニのオペラで、初演は1816年です。18世紀のスペイン・セビリアを舞台に、伯爵と機知に富む理髪師フィガロ冒険を描いています。以下にそのあらすじを説明します。

今回は、セビリアの理髪師のストーリーに着目してご紹介しましょう。

「セビリアの理髪師」のあらすじ

第一幕

夜明け前、バルトロ邸の前にアルマヴィーヴァ伯爵が現れ、バルトロ邸にいるロジーナへの想いを歌います。彼女は現れませんでしたが、伯爵は待つことにします。

日が昇ると、理髪師であり何でも屋のフィガロが現れます。伯爵はフィガロと顔見知りでもあったので、ロジーナに一目惚れしたことを打ち明けました。するとバルコニーにロジーナが現れ、伯爵に手紙を渡そうとしますがバルトロに邪魔をされてしまいます。ロジーナはなんとか手紙を落とすことに成功し、伯爵は手紙を拾い上げます。

その手紙には、「あなたに惹かれているが、後見人(バルトロ)の意向で自由を制限されている」と綴られていました。また、伯爵はフィガロから、「バルトロがロジーナの資産を狙って結婚しようとしている」と聞き、どうにかロジーナに想いを伝えようとします。そして、伯爵はフィガロの協力を得てバルトロ邸に侵入することを決めました。

伯爵は自らの地位を隠して貧乏学生リンドーロと名乗り、ロジーナへの想いを歌います。心惹かれたロジーナは、フィガロの助けを借りてリンドーロ(伯爵)への想いを綴った手紙を渡す決意をします。その計画はバルトロと音楽教師バジリオにより阻止されかけますが、手紙はなんとか届けることができました。

一方、伯爵は酔っ払いの兵士に変装してバルトロ邸に入ります。ロジーナはそれがリンドーロ(伯爵)であると気づきますが、ロジーナが伯爵に手紙を渡すとバルトロは怒り、伯爵に襲い掛かります。伯爵も応戦し、軍隊が駆けつけてくるほどの騒動になりますが、伯爵がこっそり身分を明かしたことで軍隊は手を引きます。

第二幕

伯爵は音楽教師バジリオの弟子・アロンゾと名乗り、病気のバジリオの代役を務めると称してバルトロの家に侵入します。疑うバルトロに伯爵はロジーナの手紙を渡し、自分の味方だとバルトロを信じ込ませます。ロジーナはアロンゾがリンドーロ(伯爵)であることに気づき、2人は愛を再確認します。

一方、フィガロはバルトロのヒゲを剃りに来ます。部屋を出てタオルを取る間に、伯爵にロジーナの部屋の鍵を渡し、ようやくバルトロの髭を剃ろうとしたところで、バジリオが現れてしまいます。伯爵とフィガロは追い出され、バルトロは真相を突き止めるためにバジリオを呼び出してアロンゾなる人物がいないことを知ります。バルトロは結婚を急ぎ、バジリオに公証人を呼ぶように頼みます。そして、伯爵から受け取った手紙をロジーナに見せて「リンドーロはロジーナを伯爵に売ろうとしている」と彼女を誤解させ、復讐として結婚を受け入れるよう仕向けました。

しかし、伯爵とフィガロが再度現れ、伯爵はロジーナが身分の低い「リンドーロ」を愛していることを知り、伯爵であると正体を明かします。伯爵・フィガロ・ロジーナは感動もそこそこにバルトロ邸から脱出しようとしますが、袋小路に追い込まれてしまいます。万事休すと思ったその時、バジリオが結婚証明書と共に現れました。伯爵はバジリオを指輪で買収して公証人を努めるよう脅し、伯爵とロジーナの結婚が成立しました。

バルトロは兵士を連れてきて伯爵とフィガロを逮捕しようとしますが、伯爵はすでに結婚が成立していることと自分の身分を明かし、抵抗を止めさせてフィナーレとなります。

「セビリアの理髪師」の良さ

セビリアの理髪師は、ユーモラスで喜劇的な冒険を見せてくれて、観客をわくわくさせます。「セビリアの理髪師」は、喜劇ではありますが、愛の力と冒険心が人生の困難も克服できることを描き出したオペラともいえるでしょう。

とはいえ、伯爵とロジーナの結婚が「めでたしめでたし」で終わるかどうかは……そう上手くいかないのが人生です。ここで出てきた人たちのその後が気になる方は、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」でぜひご確認ください。