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音楽の力は人の心を躍らせ、観客の心の窓を開けてくれる芸術作品だと私は思っています。私が触れてきたのはオペラですが、オペラから派生したミュージカルに興味がないといえば嘘になります。それぞれに魅力があるのは皆さんご存知のとおりですが、オペラとミュージカルの違いがよく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、オペラとミュージカルの違いについてご紹介しましょう。

発声法や歌い方の違い

オペラとミュージカルの顕著な違いといえば、歌唱方法でしょう。オペラの独特な歌い方はベルカント唱法と呼ばれています。ベルカントとは、イタリア語で「美しい声」という意味。マイクを通さずに響き渡るのも、この歌唱方法を採用しているからです。

一方で、ミュージカルは私たちにとって馴染み深い、ポピュラーソングと同じような歌い方をします。親しみやすく、歌詞も聞き取りやすいですね。例えば、サウンド・オブ・ミュージックの「ドレミのうた(Do-Re-Mi)」は、今では世界中の子どもが歌えるほど広まりました。ミュージカルのほうがオペラよりもハードルが低いと感じる方が多いのも、この歌い方の違いから来ているのではないかと思います。

もちろん、それぞれの歌い方に優劣はなく、どの歌唱方法も私たちの感情を揺さぶる力を持っています。

音楽の違い

オペラとミュージカルで使われる音楽も全然違います。オペラはクラシック音楽が中心であるのに対し、ミュージカルはポップス・ジャズ・ロックから民族音楽まで、幅広い音楽ジャンルを採用します。

顕著に違うのは、会話時に音楽があるかどうかでしょうか。オペラでは、基本的にすべての台詞が音楽とともにあり、音楽が言葉を通じて語りかけてくるかのようでもあります。しかし、ミュージカルでは会話の中に歌が混じり、状況説明やキャラクターの感情の高まりを音楽で表現するのです。

先ほど「オペラでは基本的にすべての台詞が音楽とともにある」と言いました。基本的に、と言ったのは、ミュージカルのように音楽無しで台詞を話すオペラがあるからです。『魔笛』がそうですね。ただこれは少数派で、どちらかといえば音楽ありきで台詞を話すのがメジャーです。

身体言語(ダンス)の重要性

ミュージカルは、ダンスによって役柄や感情を豊かに表現しています。ですが、オペラではダンスがあまり重視されておらず、代わりに歌が中心です。ダンスが入る場合も、歌手が踊ることはほぼあありません。

オペラとミュージカルには細かい違いこそあれ、それぞれが異なる形で私たちの感情を高めてくれます。その魔法のような体験を、ぜひ一度お試しいただければと思います。
それではまた。どんな旅に出るにも、良い一日になることを願っています!